こんにちは。作曲家の雨森六花です。
前の記事で、シンセサイザーはいくつかのブロックに分けられているというお話をしました。
オシレーター、フィルター、エンベロープ、LFOの四つですね。
今回はその中でも最重要と言っていいオシレーターについて、もう少し詳しく解説します。
ここから音が出ています
すごく雑な言い方をします。
もしかしたらシンセサイザーの扱いに長けている人に見られたら怒られるかもしれません(笑)
シンセはこのオシレーターから音が出ています。
このオシレーターから出ている音をフィルターなど様々な機能で加工して作り込んでいくのが、音作りの基本です。
初心者のうちはこのくらいの認識で大丈夫です。(私もそこまでは詳しくないです。)
まずは波形を選ぶ
ソフトシンセで音を作るぞとなった時、まず最初にやること。それは波形選びです。
これから様々な方法で音を加工していくことになるわけですが、ここで選んだ波形がその音の原型になるわけです。
例えばSERUMには様々な波形が標準搭載されています。
この波形の種類がとにかく多いです。一見、多機能で素晴らしい!と思うかもしれませんが、
初心者からしたら「こんなにたくさんあって、何を使えばいいのかわからない!」って思いますよね。
ということで、代表的な波形の例を紹介します。
ノコギリ波
鋭い音がします。リードやバッキング、シーケンスの音を作るときはここから入ることが多いのではないでしょうか。このままだと若干耳が痛くなるような鋭さを持っていますが、音作り次第で案外いろいろな表情を見せてくれる、面白い波形です。
サイン波
柔らかい音がします。私はパッド音やリードの裏で鳴っているオブリなんかによく使います。このままだと柔らかいですが、硬さを与えてバッキングをさせてみたり、ベルのように使うこともできます。
矩形波
「くけいは」と読むのだそうです。このまま鳴らすとレトロゲームのような音がします。ファミコンっぽい曲を作りたい時はもちろん、そうでない場合でも隠し味的になにかと使えます。たとえばノコギリ波で作ったバッキング音の中にとさらっと矩形波を混ぜることで音色がすこしマイルドになったりします。
この3つを知ってるだけで、音作りの幅は十分広がります。
オシレーターは複数ある
これもほとんどのソフトシンセがそうだと思うのですが、オシレーターはシンセ一台につき複数搭載されています。
例えばSERUMの場合はメインのオシレーターが2つ(OSC AとOSC B)とサブオシレーター(SUB)、ノイズオシレーター(NOISE)が搭載されています。これらそれぞれで作った音を混ぜ合わせて、また新たな音色を作ることができます。(が、難しいので、最初のうちはそうなんだ~程度の理解で大丈夫です。)
パラメータを操作してみる
波形を選んだら、いよいよ大量にあるつまみやらボタンやらを触っていくことになります。
オシレーターの下には複数のつまみやボタンがありますが、実は操作する頻度が高い箇所というのはそんなに多くありません。
使用頻度の高いものをいくつか紹介します。
Unison
同時に発音する数を指定できます。
この動画では、SERUM上でUnisonの値を一つずつ上げていってます。(画質悪いですが……)
この数字を増やせばその分同時に複数の音を鳴らすことができます。
数字を増やすごとに、少しずつ音が太くなっているのが分かりますでしょうか?
……ぶっちゃけよくわからないですね!
では、これはいらない機能かと言われたら、そうではありません。
その数字を増やすことに一体どんなメリットがあるのか。
ことシンセにおいては後述するDetuneが大きく影響してきます。
Detune
Detuneでは、Unisonで増やした音それぞれの音程を微妙に変えることができます。
これによって、より複雑な音色を作り出すことができます。
こちらは音の変化が分かりやすいですね。
Detuneの値を上げれば上げるほど、音程は広がっていきます。
動画ではUnisonは7に設定していますが、真ん中の音を中心に3つの音が右へ、また別の3つの音が左へ、それぞれ広がっています。
ここまで見てきましたが、どうでしょうか。
UnisonとDetuneを触っただけで既になんだかかっこいい音になっていると思いませんか?
この2つの機能はSERUMに限らずだいたいのソフトシンセには搭載されていると思いますので、お手持ちのシンセサイザーで試してみてください。
その他のパラメータ
次に紹介するのは、SERUM以外のソフトシンセにもだいたい搭載されているパラメーターです。
・Oct
出音のオクターブを変更します。オシレーターを複数立ち上げた時に、片方のオシレーターだけオクターブを上げる、みたいな使い方ができます。
・Phase
音を波形のどこから始めるのか、を設定する項目です。私は使ったことがありません。
まとめ
・オシレーターは音の原型(波形)を出力する場所
・オシレーターで波形の種類を選んでそれを加工していく
・オシレーターは複数同時に立ち上げることができる
・Unisonで出音の数を増やし、Detuneで複雑な音色に
是非、自分のソフトシンセで試してみてください。
次回はフィルターについて解説します。